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グルーポ・コルポGrupo
Corpo東京公演レポート
2008年4月24、25日
渋谷Bunkamura、オーチャードホールにて
500余年の歴史のなかで、その独自性が培われてきたブラジルの文化。それをしっかりと土台に据え、そこにさまざまな要素を効果的に盛り込むことで独自のスタイルを構築したブラジルのコンテンポラリー・ダンス・グループ、グルーポ・コルポ。彼らの日本初公演は、これからのブラジル文化の方向性と潜在的な可能性を強く感じさせるものだった。
グルーポ・コルポは、1975年にブラジルのミナス・ジェライス州ベロ・オリゾンチで産声をあげた。その芸術性の高さは今日、コンテンポラリー・ダンスの世界でも高い評価を得ている。
2部構成で行われた今回の公演。前半の演目は、ブラジル奥地の辺境をイメージして作られたグルーポ・コルポの代表作「パラベロParabelo」だ。パラベロとはもともと「火器」という意味を持っているが、のちに派生して「銃のように強烈な太陽の光」を指すようになった俗語のこと。ホドリゴ・ペデルネイラスが振り付けを、そして音楽は、独創性の高い音楽創作で知られるトン・ゼーと、サンパウロ大学で教鞭をとるジョゼ・ミゲル・ヴィズニックが担当した。
野性味あふれるパフォーマンスは、ブラジル奥地の大自然が持つ生命力の強さや、灼熱の大地がはらむ、時に人命をも奪ってしまう恐るべきエネルギーの獰猛さを、余すところなく見る者に伝える。それにより、当地の空気や香りを運んでくる。その土地を知る者は郷愁に駆られ、過ぎし日に思いを巡らせることになる。が、ふと我に返った時、グルーポ・コルポの魔法のような表現力のとりこになっていることに気づくのである。
表現したいことをうまく言い表せない歯がゆさは、言葉という道具の力を借りてもなお感じてられてしまうものだ。しかし本当は、身体だけで地球上のまたは全宇宙のいかなるものも表現することができるということを、グルーポ・コルポは証明してみせる。静けさのなかにひそむマグマのような熱や生命力、太陽光や火の粉など、有形無形すべてのものの体現を、グルーポ・コルポは可能にする。それはまさに芸術であり、見る者に痛烈なインパクトと感動をもたらす。
後半の演目「オンコト」では、人間の身体には豊かな「表情」があるということを実証するかのようなパフォーマンスが繰り広げられた。水や波動をイメージさせるような滑らかさや軽やかさを演じたかと思えば、刃のような強靭さを激しく、そして力強く見せつけることで観客をくぎ付けにし、心をわしづかみにする。身体と音楽そして照明が見事に調和した舞台は、観客を時に壮大な宇宙へ誘い、かと思えば、一人間の中にある小世界に導いてゆく。
グルーポ・コルポのパフォーマンスは、コンテンポラリー・ダンスの前衛的、未来的な姿のようでありながらも、一方で原始的な姿も感じさせる不思議さを持っている。それは、人間の小ささを感じさせながら、同時にその偉大さも悟らせるパワーを秘めている。
この「オンコト」は、ブラジルポピュラー音楽界の大御所カエターノ・ヴェローゾがジョゼ・ミゲル・ヴィズニックとともに、2005年にクルーポ・コルポの創立30周年を記念して創作した演目だ。「オンコト」とは発祥の地ミナス・ジェライス州で「私はどこにいるのだろう?」ということを意味する方言だという。身体能力を限界に限りなく近い次元にまで持っていき、それこそ全身全霊で回答を提示してくれた彼らにやまない拍手を送りながら、自分でもその答えを真剣に考えてみようと思わせる舞台だった。 |